CGEモデル細江本5章のコード構造

先日、「社会会計表から読み解くものとそうでないもの」という記事を作成したけれども、間違っている可能性がでてきた。

「すべての財の価格=1」はあくまで”基準均衡”において係数をカリブレーションするためだけに設定するものと思っていたのだけど、そうではないようだ。

正しくは、「すべての財の価格=1」もモデルに与えてしまう、ということらしい。


すべての財の価格を1にすることの意義

・・・じゃあ結局何が求めたいものなんだろう・・?

社会会計表に表れている金額=価格×数量のうち、価格を1にしてしまえば、数量=金額なので、モデルで解く必要もなくすべて自明なのでは・・・

と思ってしまったが、

おそらく現時点では「すべての財の価格=1」においての基準均衡解をモデルで実現させるというのが大事で、この先モデル内の色々な部分を変えてシュミレーションをするのが活用方法なんだろう。

しかしながら、まだなんとなく府に落ちていない。
後日武田先生の資料などを参照したいと思う。

改めて、細江本5章のコードを眺めてみる。


細江本コード主要部分

5.4.1プログラムの流れと入力ファイル(p80)
主要部分のみ抜粋

66行目~71行目

X_i=\frac{\alpha_i \Sigma_{i}p_hFF_h}{p_i} :家計の需要関数

Z_j=b_j \Pi_{h}F_{h,j}^{\beta_{h,j}}:企業の生産関数

F_{h,j}=\frac{\beta_{h,j}p_jZ_j}{p_h}:企業の生産財需要関数

X_i=Z_i:財市場の均衡

 p_{xi}=p_{zi}

$UU=\Pi_iX_i^{\alpha}$ :※非線形計画問題を定式化するための(名目的な)目的関数。 "経済学的な意味はない"(テキストp95)

CGE(応用一般均衡モデル)の実装

どうやら、私は今まで勘違いをしていて、

理論上は家計と企業の最適化問題を解いて市場均衡を求めるけれども、

モデル上では上記の連立方程式体系を解くのみに留まる

ということらしい。

なんちゅうこっちゃ・・・

細江本補論Ⅳ

これは細江本の補論Ⅳに解説があり、
連立方程式体系を最適化問題に変換することの正当性」
について述べられていた。

ざっくりまとめると、
もとの連立方程式体系がただ一つの解を持つならば、
その連立方程式体系を制約条件とし、名目的な目的関数を持つ最適化問題を解いた場合でも、同じ解を得る
、とのこと。

制約式自体が一意の解を持つので、実行可能性を持つのがその解のみだから、ということらしい。


…そ、そりゃあそうだ・・・

私は経済学上意味がある最適化問題を解きたかったけれど、
CGEを触るうえでは意味がない最適化問題を解かないといけないらしい。・・

道筋は見えてきた。